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橋本竜樹の日記〜2020.07.31-08.06



7月31日
無意味で出来ている

昨日のレコーディングに来ていた女性ボーカリストに勧められたのを思い出し、二子玉川へジブリ作品の再上映を観に行く。もっと観るべきものがあった気もするけど。人数制限で隣に人がいない映画館は快適だった。なんの制限もないが、なんの需要もない自分の音楽活動について考えると嫌になる。続ける理由もやめる理由も等しく見当たらない。無意味な継続が自分の血肉になっているとも言える。そんなことを考えながら映画をみるべきではない。


8月1日
ブルゴーニュ

急に仕事の修正が立て込んで、ナオヤ君と約束をしていたのを忘れてしまう。連絡をもらってから2時間近く待たせてしまった。本当に申し訳ないことをした。途中でナオヤ君の奥さんが来られて、持参されたブルゴーニュの高級なワインをご馳走になる。高級なワインを飲み慣れていないので、楽しい雰囲気に飲まれて、少々雑な飲み方になってしまう。いや、それでいいのかもしれない。タカクワ夫妻にはお詫びとお礼を兼ねてなにかご馳走しなくては。


8月2日
レコーディング

今日もありがたいことに仕事がある。音楽制作会社のレコーディングスタジオに向かう車内で、春先のゆったりとした時間を懐かしむ。納得が出来る理由付きの無職は気楽でよかった。とはいえ、税理士に減収をはっきりとした数字で伝えられたところで、残念ながら仕事が有り難いという気持ちが勝っている。ありがたいのか残念なのか、仕事に対して人間はわがままだ。経済状況に左右されない余裕のある人になりたい。そんな人はいないか。いや、いるか。


8月3日
フェイク

ここ最近、久しぶりに仕事が立て込んでいる。去年は「いよいよ落ち目が見えてきた」と、これからの生き方を考えることもあったけど、コロナ自粛後は有り難いことに忙しくしている。自分なりに理由を考えたのだけど、ここ数年は本格志向で、僕みたいな胡散臭い雰囲気系の職業作曲家ではなく、アーティストとして活動している人にクライアントワークを依頼するというのが流行だったのではないかなと思う。だけどコロナの自粛後は、予算やスケジュールが不安定で本格的な人に頼みづらい状況になり、また職業作曲家に依頼するようになったのではないだろうか? と。全部、僕の拗ねた想像だけど。フェイクにしか出来ないバランス感ってのもあるので、お仕事には雰囲気系の職業作曲家も役に立つ。良いか悪いかはさておき。


8月4日
神宮球場バックネット裏

カープファンの須田さんと神宮球場へ。対戦する両チームのファンが混在するバックネットエリアへ。とてもいい席だけど、真剣に見すぎてしまうかも。それで疲れたのか、痛い逆転負けで疲れたのか……試合後にブルペン前にいた曽根さんと合流して軽く飲もうとなったのだけど、突然の強い眠気に負けて先に失礼する。



8月5日
依頼

仕事の依頼が相次ぐ。どうしたのだろう。喜び小躍りしていたら〆切が全部同じ日だと気付いて呆然とする。どうしたものか。とりあえず家族の為に麻婆豆腐を作っておく。葱は温めなおす時に加えるように伝える。


8月6日
我慢

明日、7日のスケジュールの問い合わせを受ける。神宮球場のチケットを取っていたので、相手にどの時間帯か尋ねてみると、「あ、すみません! 野球ですよね? 」と悟られてしまう。慌てて否定して詳細を聞くと夕方からのスタジオ作業とのことだったので、仕方なく試合観戦を諦める。がっかりしていたら、夜に「やはり明後日、土曜日の午前中に変更させてください」との連絡が入る。絶対バレてる。ありがとう。


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執筆者:橋本 竜樹 / ハシモト・タツキ

de.te.ri.o.ra.tion主宰、Deterio Liber発行人。

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