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MAGAZINE

橋本竜樹の日記             2020.05.08-05.14



5月8日

鉄瓶

夕飯の支度の前に散歩をするのが日課になっている。世田谷通りを松陰神社前に向かって歩き、住宅地の中を抜けて、環七を割ったところから鳥山緑道に入る。そして茶沢通りに出て、ニコラに寄って一杯飲んで帰るのがお気に入りだ。

松陰神社の商店街の近くのサミットストアの前にあるベンチでは、年配の方が飲酒をしているのをよく見かける。その風景を知っている人とは「あのベンチで酒を飲めるようになったら一流だね」なんて冗談を言い合ったりする。

今日のベンチにはストロング缶と小さな南部鉄器らしい鉄瓶が残されていた。その風景に疑問をもつことはない。
酩酊した老人が膝の上に鉄瓶を大事そうに乗せている姿を想像した。


5月9日

焼豚

焼豚を作った。正確には焼き目をつけた煮豚である。今治で食べた焼豚玉子飯は美味しかったな。

焼豚はそれ自体が美味しいのは勿論だけど、副産物が素晴らしい。豚バラ肉を使うのでラードが取れるし、醤油と酒が煮詰まった煮汁は色々な料理に使えて、大変重宝する。

暇なので料理ばかりしている。


5月10日

竹輪の磯辺揚げ

料理しかしていないので、日記が料理のことばかりになってしまう。竹輪の磯辺上げを作って昼から焼酎を飲む。青のりをケチってしまった。別に仕事が無いから節約しているという訳ではない。品が良い感じにしたかったのだけど、磯辺揚げにそんなものを求めるべきではなかった。

コロナ禍のおかげで、いつもよりも父親をしている。自分が独り者の若者だったら、どんなふうに過ごしているのだろうか。


5月11日

つみれ汁

久しぶりに仕事の依頼が来た。だけど半額で買った鰯が冷蔵庫に大量にあり、まずはつみれ汁を作らなければならない。頭を落として、手捌きで鰯の腹を開けて、身を包丁でひたすら叩く。

つみれ汁を作るようになったのは、娘の家庭科の宿題を手伝って、一緒に作ってからだ。魚を一から捌くのは初めてで、娘より楽しんでいた気がする。
手間のわりに地味な一品だけど、鰯の出汁の風味が本当に美味しい。

仕事に向かう気分になれるだろうか。


5月12日

仕事

昨晩から久しぶりのCMの仕事に取り組んでいる。Mac Book Proだけで完成できそうな曲調の依頼だったので、作業場には行かず畳の寝室で作曲をする。部屋着でテレビを観ながら、のんびりと作業をする。疲れたらすぐに横にもなれるのが良い。

人に作業場を持つことのメリットを聞かれたときに、仕事のオンオフが出来ることだと答えていたけれど、僕はもしかしたらオンオフが無い方が向いているのかもしれない。

結局、エレキベースも加えることになり、作業場に向かうことになったけれど、それはそれで変化があって楽しい。


5月13日

荒谷君

散歩の目的地はたいていニコラで、帰り道は安い野菜を探している。太子堂商店街の八百屋、世田谷通り沿いのセブンイレブン、あと松陰神社前の八百屋を覗いたりする。不要不急と責められてしまうかもしれない。今日は水菜が安く買えた。

八百屋を出たら、パーマの男が缶ビールを片手に店先の野菜を物色していた。

荒谷君!

サミット前の達人ベンチに最初に座る知人は荒谷君かもしれない。もしかしたらもう座っているかもしれない。少し立ち話をして、飲む約束をして分かれる。いつ飲めるかな。

豚肉を買ってしゃぶしゃぶにするつもりが、半額の鱧に出会ったので鱧しゃぶに変更した。家で鱧を食べるのは初めてかもしれない。


5月14日

破れたカーテン

外から窓を見上げたら
カーテンがびりびりに破れていた
犬も猫もいないのだけど



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執筆者:橋本 竜樹 / ハシモト・タツキ

de.te.ri.o.ra.tion主宰、Deterio Liber発行人。

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