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日雇い作曲家の日記〜2020.10.12-10.21



10月12日
逞しい

深夜の三茶の西友。買い物途中、生鮮売り場にある地下一階の洗いに入ると、壁に「トイレでのご飲食はご遠慮ください」という注意書きが貼ってあるのが目についた。会計前の酒や惣菜を持って入って、そこで飲み食いする人がいたってことか、なんて思いながら洗面台の方をみると、鏡の前にタカラ酎ハイの空き缶が。よくあることなのか。いつか自分が困窮したときに、こんな風に図々しく、逞しくいられるだろうか。無理かなあ。


10月13日
おじいちゃん

薄揚げと葱を甘じょっぱく煮て、ご飯にのせる。卵でとじた衣笠も美味しいけど、シンプルなきつね丼が好きだ。娘も喜んでくれるだろうと期待していたら、「おじいちゃんみたいなお弁当で寂しくなった」と言われてしまった。中学生だし仕方ないか。




10月14日
マリンスタジアム

今年の春先、須田さんとあやちゃんと3人で飲んでいるときに「あやちゃんは千葉出身だからマリーンズファンになろう」なんて言って笑っていたのだけど、その後、あやちゃんは立派なマリーンズファンへと成長して、僕たちはけしかけた責任もあるということで(?)、3人でマリンスタジアムへ。球場で贔屓のチーム以外の試合を観たのが初めてだったけど、すごく気楽で、純粋に野球の試合を楽しめた。電車を乗り継いでの小旅行感もよかった。来年は交流戦で来られたらいいな。




10月15日
日雇い作曲家

2時間で曲を作ってくれないかという依頼が来る。いいねえ、こういうのは久しぶりだ。ぼやけていた頭が覚醒する。自分は音楽家ではなくて日雇いの作曲家だから、こういうのが性に合っている。無責任からデタラメを削り出す。


10月16日
昼酒

最近、体調が悪いわけではないけど、すっきりもしなくて、酒が飲めない日が増えてきている。そのせいか、調子がいいと感じると、そんな時は時間を問わず飲み始めてしまう。自己管理ができるクズという感じだろうか。昼食時、仕事場近くの中華屋で麻婆豆腐定食とジャスミンハイを頼む。ジャスミンハイを三杯のんだところで、まだライスが手つかず。調子がよかったらしい。結局、仕事せずに昼寝した。


10月17日
ビジネスセンス

今はすっかりご無沙汰だけど、BIG LOVEで買い物をしていた頃、店主の仲さんが「音楽を選んでる時点でビジネスセンスがないんだよ」と言って笑っていたのが格好良くて、今でもたまに思い出す。カルチャーとしての音楽、作り手として関わる音楽、ビジネスとしての音楽、どれも遠い。すっかり根無し草になってしまった。


10月18日
タンパク質

平日は娘、週末は息子の弁当を作る。相変わらず肉々しい。




10月19日
肩幅

昨晩、仕事を終わりにニコラで2杯飲んで、三軒茶屋から歩いて帰宅した。途中、富士そばに寄って天ぷらそばを食べた。今日はまずかった。富士そばの問題じゃなくて、こちらの問題だと思う。家に帰って洗面所へ向かう。鏡に映る自分は中日の与田監督のようなごつい肩幅だった。「これはひどい」と、気絶しながら寝室に向かう。歳をとったといっても、先はまだまだ長い。なのに情熱には限りがある。自分はサポートの終わった家電のようになっていくのだなと思いながら寝る。朝、鏡をみたら肩幅と気分は戻っていた。


10月20日
今日はここから

今年、神宮にいけるのも残り数試合。




10月21日
今日も神宮

今日も神宮球場へ。始球式が狩野英孝だったけど特になにもなく、淡々とボールを投げて終わった。でもそれが面白かった。スワローズファン的には今シーズンのベストゲームだったのでは。試合後、球場に来ていた曽根夫婦と合流して、ささやかな祝勝会をひらく。





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執筆者:橋本 竜樹 / ハシモト・タツキ

de.te.ri.o.ra.tion主宰、Deterio Liber発行人。

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